このグループについて

 

ファン研究とは何か

ファン研究は1990年代に英語圏で成立しました。ポピュラー文化を消費するだけでなく文化研究の活動という形で文化の生産に参加するファンたちの活動に注目する研究領域で、映画 ・メディア研究、コ ミュニケーション学、カルチュラル・スタディーズなどに学際的に広がっています。ファン研究はその黎明期から、大衆消費社会の中で責任ある消費者であり政治参加をする市民をいかにして生み出すかが議論されてきました。
 

楽天主義への批判

この傾向は楽天主義的と批判されることも多く、例えば、2010 年代以降の欧州の極右勢力の伸長や米国のトランプ大統領の出現の背景にファンダムの負の側面があることが指摘されています。「カエル のぺぺ」という漫画のキャラクターをトランプに重ね合わせたミームが 2015 年の大統領選での勝利に貢献したことや、2020 年に連邦議会を占拠した暴徒がQ Anonシャーマンのと呼ばれる人物に率いられていたことは、トランプ支持者たちの中に独自のファン文化が存在することを示しています。
 

批判的受容

従って、ファンたちの自発的参加を資本主義や権威主義への抵抗として称揚するという議論はあまりに素朴です。とはいえ、上述のようなファンダムの中での参加が現実の社会構造や政治と複雑に絡み合っていることも事実であり、この点をファンに注目して研究することは重要です。本グループはこのような批判的な観点から英語圏のファン研究を日本や東アジアの状況を理解するために取り入れようと考えて活動しています。
 
以下の動画も参照してください。
 
ファン研究グループ